徳山の街角にひっそり佇むのは全国にその名を知られる古本屋兼出版元/マツノ書店
2018年は明治維新150年。幕末・維新にまつわる本の品揃えは圧巻!
2018年は明治改年になって150年という事で、山口県内ではさまざまなイベントが行われていますが、山口県内の幕末・維新にまつわる本では、全国にその名を知られる古本屋が徳山商店街にあるのをご存じですか?本屋さんの名前はマツノ書店。古本屋さんでもあり、幕末維新に関する本や資料の復刻出版もしている出版元でもあるのです。
お客さんに喜んで欲しくてはじめた出版業。今まで出した本は何と280点!
1934年(昭和9年)に創業したマツノ書店。今の場所に店を構えた1968年(昭和43年)頃は貸本業が全盛の頃。銀座商店街のマツノ書店も1階は貸本、2階が古本でスタートしました。オリジナル色を出すために、古本には山口県の歴史文献を揃えた事が、後々マツノ書店を突出した本屋にしていきます。貸本がすたれて古本がメインにした頃、史料を探しに来たお客さんが目当ての本がないとがっかりして帰る姿に気づいた当時の社長松村久さんが始めたのが、山口県内の史料に特化した復刻出版だったのです。
何だか固い本ばかりなのかなと思いきや、「出版して一番売れた本は何ですか?」と聞くと「これこれ」と出してくれたのがその名も「証言・周防の性風俗 よばいのあったころ」。なんと魅惑的なタイトル!昭和62年の出版時には、朝日新聞の全国版で取り上げられ、一日中問合せの電話が鳴りっぱなしだったとか。いつの世にも人の興味は変わらないのかも!?
本好きのライターが気になったのはこの本たち!長州藩のお給料、気になりませんか?
本をこよなく愛するライター。見渡す限り本だらけの店内にいるだけでも幸せですが、「こ、これは」と思った本を独断と偏見でご紹介します。中でも個人的に一番気になったのが、「萩藩給禄帳」。ずらっと書かれた名前と禄を見ていると、歴史書には感じられない、当時本当に人が生活していたという息吹きが感じられて、時間を忘れて読みふけってしまいそうでした。
とにかく本が好きな人に絶対来て欲しい、徳山の宝物のような本屋さん。
長年の復刻出版が評価され、2007(平成19年)年には、菊池寛賞がマツノ書店に贈られました。同年の他の受賞者は、阿川弘之さん、桂文枝さん(当時はまだ桂三枝さん)、市川団十郎さんと著名な人ばかり。その中で徳山商店街の大通りから少し離れた小さな本屋が受賞したのです。懐かしさを感じさせる店構え、店内にぎっしりと詰まれた本。本が好きな人ならきっとこの雰囲気も気に行ってもらえるはず。