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画像:周南地区衛生施設組合「恋路クリーンセンター」
「毎日出してるごみって、燃やした後どうなるの?」
そんなふうに考えたことは、ありませんか?
実は山口県には、ごみ焼却灰を“まちをつくるセメント”に生まれ変わらせている会社があります。
その名も、山口エコテック株式会社。
周南市の晴海町に本社を構えるこの会社は、2001年の設立以来、24年間にわたって山口県の環境を守り続けてきました。
「環境問題」って聞くと、なんだか遠い話に聞こえるかもしれません。
でも実は、私たちの暮らしのすぐそばで、ごみが資源に変わる”すごい技術”が動いているんです。
今回は、その現場を深掘りしてみました。


家庭で出した燃えるごみは、市町村の焼却施設で燃やされます。
でも、燃やしても「灰」は残る。
この灰、以前はそのまま埋め立て処分されていました。
ところが、埋め立てできる場所(最終処分場)には限りがあります。
1998年当時、山口県のごみ焼却灰は最終処分場で埋立処理が行われていました。
山口県下のごみ焼却灰の広域的な処理が課題でした。
1997年 山口県では「廃棄物の発生をゼロ」を目指し、産学官の協働で「ごみ焼却灰などの有効活用」について検討を開始
実証試験をもとに「ごみ焼却灰をセメント原料化」するリサイクルシステムが確立されました

そして2001年「やまぐちエコタウン基本構想」が策定され、その中核プロジェクトの一つ「ごみ焼却灰のセメント原料化システム」を担う企業として、トクヤマ、UBE三菱セメント(旧宇部興産)の共同出資により「山口エコテック」が設立。
県内の市および町との連携・協働でごみ焼却灰のセメント原料化事業を開始しました。
ごみを焼却すると、実は2種類の灰が出ます。
飛灰の方が、ダイオキシンなどの有害物質を多く含んでいるため、特別な処理が必要なんです。

粉粒体運搬車両で運ばれてきた飛灰は、まず飛灰サイロで保管されます。
飛灰は「脱ダイオキシン装置」へ。
この加熱処理で、有害なダイオキシン類を徹底的に分解・除去!
一方、主灰は受入ホッパから磁選機へ。

磁力を使って、混ざっている金属などの異物を取り除きます。
取り除かれた磁性物と異物は別ルートへ。
異物が取り除かれた主灰は湿式粉砕機に搬送し、そこで泥状化され、次の工程へ。
処理された飛灰と主灰は、ここで合流します。
加熱処理された飛灰と泥状化された主灰は、スラリー貯槽で混合均一されます。
ここで工業用水を使って、灰に含まれる塩分をしっかり洗い流します。
なぜ塩分を取り除くの?
塩分が含まれると、コンクリートの中の鉄筋が腐食し、ひび割れなど劣化を引き起こす恐れがあるから!
水洗された灰はフィルタープレス(脱水ろ過機)で圧力を加え水分を絞り出して、脱水ケーキが完成。

脱水処理工程を経て、脱水ケーキになったら、いよいよ出荷!
トラックに積まれて、株式会社トクヤマ(周南市)やUBE三菱セメント株式会社(宇部市、美祢市)のセメント工場へ運ばれます。
セメント工場では、他の原料(石灰石、粘土yなど)と混ぜ合わせて1,400℃以上で焼成。
完全に無害化され、普通ポルトランドセメントの完成です!

山口エコテックが誇るのは、この一連の処理技術。
✅ 脱ダイオキシン処理:飛灰の有害物質を徹底除去
✅ 水洗脱塩素処理:主灰・飛灰両方の塩分を除去
✅ 広域処理システム:県内全域から焼却灰を受け入れ
この3つを組み合わせた技術で、あらゆる建設・土木工事に使える”普通のセメント”の原料にすることができるんです。
しかも、県内全域から広域的に焼却灰を集めて処理するシステムは、全国で初めて実用化されたもの。
まさに、山口県だからこそ生まれた、環境を守る技術です。

「ごみをセメントにする会社って、すごいアイデアだけど…
なんで、よりによって山口県で始まったの?」
そう思いますよね。
実は、偶然じゃないんです。
山口県だからこそ、できたことがある。
山口県って、実はセメントの産地なんです。
この3つの大きなセメント工場が、もともと県内にありました。
つまり、
「焼却灰を持っていく場所が、すぐそばにある」
ってこと。
これ、めちゃくちゃ大事なポイントです。
遠くまで運ぶのは大変だし、コストもかかる。
でも、県内にあるなら話は早い。
地の利があったんですね。
「でも、ごみの灰って…本当にセメントになるの?」
そう思いますよね。
ごみ焼却灰は、セメント成分を多く含んでいることは知られていました。
だから、1999年から2000年にかけて、
実証試験が行われました。
「焼却灰を、本当にセメント原料として使えるのか?」
結果は──
「使える!しかも、ちゃんといいセメントになる!」
焼却灰の主成分が、セメント原料の“粘土”の代わりになることがわかったんです。
つまり、
捨てるはずだったものが、そのまま”材料”になる。
これ、すごくないですか?
ごみ焼却灰は、セメント成分の酸化カルシウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉄を多く含んでおり、セメント原料化が可能なんです!
ここからが、この話の本当にすごいところ。
トクヤマと、UBE三菱セメント。
この2社は、本来なら競争相手です。
セメント業界で、お互いライバル。
普通なら、一緒に仕事なんてしません。
でも、2001年。
この2社が、手を組みました。
「環境問題って、競争してる場合じゃないよね」
そう考えたんです。
しかも、こんな想いもあったそうです。
「1社だけでやると、何かあったとき大変。
でも2社なら、お互い助け合える」
リスクも分け合い、
技術も分け合い、
山口県全体の環境を守る。
競争より、協力。
その決断が、今も会社を支えています。
山口県には、
✅ セメント工場があった(場所)
✅ 焼却灰が使えることがわかった(技術)
✅ 2社が手を組んだ(決断)
この3つが、ぴたりと重なった。
だから、
全国で初めての、広域ごみ焼却灰セメント原料化システムが、
ここ山口県で生まれたんです。
「環境を守るって、誰か1人じゃできない。
でも、みんなで力を合わせたら、できるかもしれない」
そんな希望が、ここから始まりました。

山口エコテックができてから、約24年。
「で、実際どうなの?
本当に効果あったの?」
──そう思いますよね。
数字で見ると、びっくりします。
1998年(設立前)
山口県のリサイクル率:10.2%
2023年(現在)
山口県のリサイクル率:約21.6%
※環境省
ちなみに全国平均は19.4%。
つまり山口県、全国でもトップクラスなんです。
10人中1人しかリサイクルしていなかったのが、
今は10人中2人がリサイクルしている状態。
2倍ですよ、2倍。
これ、実はすごいことなんです。

「埋め立てる場所、あと12年でいっぱいになります」
1998年、そう言われていました。
でも今は?
残余年数:約42.7年
(ちなみに全国平均は24.8年)
※環境省
新しい処分場をつくるには、
莫大な費用と時間、そして住民の合意が必要です。
それが、あと30年以上も確保できるようになった。
年間3~4万トンの焼却灰をセメント原料化することで、
ごみ焼却灰の埋立量が大幅に削減されたんです。
「ダイオキシン」──覚えていますか?
以前、ニュースでよく取り上げられていた有害物質です。
猛毒で、環境にも人体にも深刻な影響を及ぼします。
山口エコテックでは、
そのまま埋め立てていたら、
土壌や地下水が汚染されるリスクがありました。
今は、その心配がほぼなくなっています。
山口エコテックの貢献もあり、
📊 リサイクル率が2倍に(10.2% → 21.6%)
⏰ 最終処分場の残余年数が30年以上延びた(12年 → 42.7年)
🌿 ダイオキシンの環境汚染リスクがほぼゼロに
「まあ、やってよかった」
というレベルではなく、
「この事業がなければ、今の山口県はなかった」
そう言えるほどの、確かな成果です。
山口エコテックで処理された焼却灰は、
普通ポルトランドセメントの原料になります。
「ふつう…ポルトランド…?
なんか難しそう…」
そう思いました?
大丈夫です。
簡単に言うと、いちばん普通のセメントです。
特殊なセメントじゃなくて、
あらゆる建設・土木工事に使える、スタンダードなセメント。
つまり、どこにでも使えるってこと。
・ ビル・マンション・学校・病院
・ 橋や高架道路
・ 住宅の基礎や外壁
・ トンネル、ダム、港湾施設
・ 護岸補強、軟弱地盤強化
あなたが今日歩いた道。
住んでいる家の土台。
通勤・通学で渡る橋。
もしかしたら、そこにかつてのごみ焼却灰が”資源”として使われているかもしれません。
ここが大事なポイント。
「ごみから作ったセメントって、弱いんじゃない…?」
そんなことは、ありません。
品質は、普通のセメントとまったく同じ。
焼却灰を使っているかどうかで区別されることもないし、
建物の強度が落ちることもない。
トクヤマやUBE三菱セメントの工場で、
他の原料と一緒に高温で焼かれて、
立派なセメントに生まれ変わるんです。
「ごみ」が「まちをつくる材料」になって、
私たちの暮らしを支えている。
しかも、品質は普通のセメントと変わらない。
これ、すごくないですか?
捨てられるはずだったものが、
誰かの家になり、道になり、橋になる。
循環型社会って、こういうことなんです。

ちょっと想像してみてください。
もし、山口エコテックがなかったら──
「埋め立てる場所、もうありません」
そう言われていたはずです。
1998年時点で「あと12年」だったから、
計算すると2010年ごろには満杯。
じゃあ、新しい処分場をつくればいい?
そう簡単にはいきません。
その間、ごみはどうするの?
焼却灰をそのまま埋め立てていたら、
有害物質が土壌や地下水に染み出すリスクがありました。
「ダイオキシン汚染」
そんなニュースが、今も続いていたかもしれません。
山口県のリサイクル率は10.6%。
全国平均にも届かない状態が続いていた可能性があります。
「環境先進県」どころか、
「環境問題に悩む県」になっていたかも。
「ごみを資源にする」なんて、
まだまだ先の話になっていたでしょう。
山口エコテックがあったから、
✅ 処分場が延命された
✅ 新規建設の必要が遠のいた
✅ ダイオキシン問題が解決した
✅ リサイクル率が全国トップクラスに
✅ 循環型社会が実現した
この会社があったからこそ、今の山口県がある。
そう言っても、決して大げさじゃないんです。

「SDGs」って、最近よく聞きますよね。
国連が掲げる持続可能な開発目標のこと。
なんだか大きな話に聞こえるけど、実は山口エコテックの取り組みって、まさにそれなんです。
ダイオキシンを徹底的に除去することで、
安心して暮らせる環境を守っています。
空気も、土も、水も、きれいなまま。
それが、ずっと続く。
捨てるはずだった焼却灰を、資源として循環させる。
「使い捨て」じゃなくて、
「何度も生まれ変わる」社会。
埋め立て地を減らすことで、
自然がそのまま残る。
森も、山も、川も。
次の世代にも、ちゃんと残せる。
「環境にいいことしてます」って、
なんとなく抽象的に聞こえるかもしれません。
でも、山口エコテックの取り組みは違う。
数字でも、目に見える形でも、ちゃんと成果が出てるんです。

山口エコテックは、環境教育の場としても注目されています。
2021年には、山口県の環境保全活動等実践講座
「SDGs循環型社会をめざす」の見学施設に選ばれました。
周南公立大学との連携
環境の授業で施設見学や、インターンシップの受け入れ。共同プロジェクト開発。
中高生向けワークショップ
「ごみが資源に変わる」を体感できるプログラム。社会科見学や探究学習の時間での利用。
「循環型社会って何?」
それを、実際に見て、触れて、学べる場所。
それが、山口エコテックなんです。

私たちが毎日出しているごみ。
燃やした後の灰は、山口エコテックの手で
「まちをつくるセメント」に生まれ変わっています。
📊 リサイクル率を2倍に(10.2% → 21.6%)
⏰ 最終処分場を延命(12年 → 42.7年)
🏗️ 年間3~4万トンの焼却灰が建設資材に
🌍 SDGs達成に直接貢献
🎓 環境教育の拠点として
そして何より──
「廃棄物は資源になる」
「環境問題は技術で解決できる」
「地域の力で未来をつくれる」
という希望を、数字と成果で示し続けています。

環境問題の解決って、遠い誰かの仕事じゃない。
私たちの住む地域で、今この瞬間も、確実に進んでいる。
山口エコテックのような会社が、
毎日、黙々と、未来を守るために働いています。
そしていつか──
その担い手になるのは、私たち自身かもしれない。
まずは、知ることから。
興味を持つことから。
それが、循環型社会への、最初の一歩です。
山口エコテック株式会社
〒745-0024 山口県周南市晴海町7番46
TEL: 0834-34-2935
公式サイトはこちら
今回の取材を通して、ごみ処理やリサイクルは、単なる環境対策ではなく、まちを支える重要な仕組みの一つだと感じました。
普段、学生として徳山・周南で生活していると、町づくりという言葉はどこか行政や大人の仕事のように思えてしまいがちです。
しかし実際に現場を訪れ、話を聞く中で、こうした取り組み一つひとつが、安心して暮らせるまちを形づくっていることを実感しました。
ごみの分別や資源の循環は、目立つものではありませんが、日常を支える「当たり前」を守るために欠かせない要素です。
町づくりは大きなイベントや新しい施設だけで進むのではなく、こうした見えにくい部分の積み重ねによって成り立っているのだと思います。
学生の立場でも、日々の行動や意識を少し変えることで、町づくりに関わることはできます。
この記事が、身近な暮らしの中から徳山・周南の町づくりを考えるきっかけになれば嬉しいです。
本記事内の情報は、取材当時に確認をした内容でございます。詳しくは各施設・団体などへお問い合わせください。
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